(東京都大田区の空 By H.H)
主人の死後、役所、銀行…諸々の手続きと処理に休む間もなく走り回る日々が続きました。
その日の用事を済ませ、ようやく湯船につかり一息つくと、急に涙が溢れてきます。自分の気持ちはまだ主人と一緒にいるのに、書類だけが「主人の死」のハンコを求め、私の気持ちはいつも「置き去り」でした。
様々な手続きから解放されても悲しみから解放されることは無く、「もっと優しくすれば良かった、もっと話をすれば良かった、もっと、もっと…」と後悔しては泣き暮らすうち年が暮れていきました。
年明け3月、すっかり「気」が失せていた私は再発の割合数パーセントの「2度目の帯状疱疹」を発症、5月に主人の1周忌を済ませても相変わらず泣き暮らしていました。
季節の移ろいを感じる余裕もなく年末を迎えた頃、区の子宮がん検診を受診した歳、以前から気になっていた左腹部のしこりを医師に相談しました。
「区の検診外で申し訳ありませんが、左腹部のしこりがどんどん大きくなって気になるのですが…」と遠慮がちに告げると、すぐに医師は診察台からベッドに私を移動させ触診して下さいました。そして「ちょっと気になるから、すぐに検査した方がいい」とおっしゃって下さり、早速近所の総合病院で検査を受けました。
検査結果は「左腎臓がん(左腎腫瘍)」。このときがんは12センチの大きさで、通常片面に1本しかない血管が私の腎臓には表裏に2本通っているため、傷つけると大出血で死亡の危険もあり内視鏡手術は出来ず、年明け2017年1月6日に開腹出術の予約を入れ、自宅に帰り姉に報告。電話の向こうの姉はしばらく無言でした…
(つづく)