(大分の空 By M.U)
私は、12歳の雌猫です。人間で言うと60歳位かな。私のママは新米気診講師なんだ。だから、たまに、気診練習に付き合ってあげたりする。
私とママとの出会いは、私がペットショップの売れ残り大セールで店先のゲージに出されていた時、お店の前をたまたま通ったママが、私に一目惚れして、お家に連れて行ってくれた。
私は、ペットショップでの過酷な生活で、体を壊していたらしく、ママのお家に行ってすぐに身体の具合が悪くなった。まだ、ちびっ子だった私は、いつ死んじゃってもおかしくない状態だったらしく、病院に入院して治療をした。どうにか命はとりとめたけれど、色々と神経にくる後遺症が残り、ご飯もあまり食べられない。病院の先生に、後は、私の生命力次第で、ちゃんと1歳まで生きられるかわからないと言われたらしい。
退院して、お家に帰ってきてから、絶対に私を元気にすると奮起したママは、私を全身全霊で、看病してくれた。ご飯を食べる気にならなかった私に、何とか食べさせようと、肉食である猫の私に生の馬肉を用意してくれた。でも、あまり食べられない。そこで、ママは一口ずつ、私の前にお肉をおく作戦を考えた。夜中でも明け方でも私が起きている時は、時間関係なく、一口お肉をおいてくれた。そのお陰で、段々食べられるようになった。
動物が自分の身体を治すときは、寝て治す。それを知っていたママは、私がゆっくり沢山寝られるようになるためには、静かな環境が一番、と、遊び盛りの小学生の兄ちゃん達は、友達を連れてくるのは禁止され、家族みんなで、私が元気になる事に協力してくれた。
それからママは、普通の獣医さんではもう治療のしようがないと言われたので、漢方薬を処方する獣医さんをみつけて、そこに連れて行かれた。そのおじいちゃん先生は、私に漢方薬の他に、びわの葉温灸をしてみるとよいかも、と、ママに教えてくれた。私にびわの葉温灸をしながら、ママは、「お手当」って、小さいときに、ママのおばあちゃんからしてもらった事を思い出し、「お手当」を教えてくれる先生をみつけ、勉強を始めた。ママの手から癒やしのエネルギーを出して、私の身体が元気になるのを応援出来たら良いな、と思ったらしい。
(つづく)