漢方の臨床投稿記事です。
34歳男性
【初診】平成27年〇月
【主訴】眠れないので養生を教えてほしい
【既往歴】 花粉症(4年前から)
【現病歴】 毎年9月~11月になると体調が悪くなる。よく眠れない
今年も9月初めからよく眠れなくなった。
【経過】
(初回)
気診 噛みしめによる身体の緊張、胸に気の異常反応、水毒、肝気鬱血、気虚
養生指導 ①湯気を吸う ②頭を上に持ち上げる ③呼吸法 ④温め
漢方 朝 補中益気湯 0.5g 夜 六君子湯 0.5g
(2回目)1か月後
初診の夜からよく眠れるようになった。加湿器を使ってマスクをして寝ている。
気診 気の異常はほぼ改善 水毒あり
養生 ①湯たんぽによる温め ②こまめに水分を取る ③呼吸法
漢方 夜の六君子湯のみ
経過観察中
【考察】
噛みしめている方は身体が緊張してます。養生と漢方で身体の緊張をほぐせば噛みしめは改善していきます。
鍼灸師さんからの紹介です。秋になり以前と違ってどうも上向きにならないので漢方を気診してほしいとのこと。ここ数年9月になると決まって調子が悪くなるとのこと。眠れなくなりとても辛い。気診をすると身体の周囲に厚い雲のような気の異常反応あり。重いベールに包まれて呼吸も苦しい模様。しばらく眠れてないせいか疲れ切っている様子。前かがみになって身体が小さく縮こまっている。気診で右季肋部に反応あり。水毒。気診をすると補中益気湯と六君子湯。手に載せるとしばらくじっとしている。どうしたのかしらと見ていると、「あー!!息ができる!!」と急に前かがみだった上体を起こして叫びました。こちらの方がびっくりして「そんなに苦しかったのですね!?」
眠れなくなった数年前から春には花粉症も発症しています。つまり鼻とつながる肺が機能ダウンをしていると考えます。肺は秋、乾燥の季節にさらに機能ダウンします。ですから9月から11月に調子が悪くなると考えられます。
そこで養生は潤わすこと。顎の下に熱いお湯を入れたマグカップを置いて湯気を吸います。口からも鼻からも潤っていきます。寝ている時はマスクをして加湿器をつけたそうです。初診の夜から熟睡ができるようになったとのこと。2回目は別人のように元気になって補中益気湯は必要なくなっておりました。
漢方は症状改善の強力な手助けになります。それにしても「どうして持っただけで楽になるのですか?」
と患者さんに聞かれても
「それが気です」としか答えられないのが少々残念です。