「漢方の臨床」投稿記事です。
(症例2)61歳 男性
【初診】平成26年
【主訴】今年6月から体が重い
【既往歴】糖尿病(治療中)
【現病歴】1ヶ月前まで山登りをしていたのに、26年6月4日から突然身体が重くて歩くのも辛くなった。4か所の病院に行って色々検査をしたが原因がわからない。それより少し前にかなりストレスがかかることがあり忙しかった。タバコを吸う。
【経過】たまたまお会いする機会があり気を拝見したら体のまわりに厚い雲がかかったような状態でした。養生法をご指導したら少しよくなったそうで来院されました。
(初回)
気診 風邪(ふうじゃ)と脾虚、腎虚の反応。口がきちんと閉じられず口呼吸
養生 呼吸法。気づいたら深呼吸をすること。タバコを減らすこと、甘い物を減らすこと、腰を温めること
漢方 朝 桂麻各半湯 1つまみ+ツムラ 八味地黄丸1つまみ
夜 ツムラ四君子湯1/5包 0.5gくらい+八味地黄丸1つまみ
(2回目)
波はあるが前回よりはすこーし良くなった。八味地黄丸が効いている気がするとのこと。養生は湯たんぽによる温めを加える
気診 風邪(ふうじゃ)は取れた。腰から下の気の異常、水毒++
漢方 朝 八味地黄丸1/10包 0.2g位
夜 コタロー 六君子湯 1/7包 0.4g位+八味地黄丸 1つまみ
(3回目)
温泉に行ったら調子がよくなった。坂道下り15分歩けた。
気診 水毒++ 瘀血++
養生 五行で腎を元気にするのは黒いものなのでごまや昆布を勧める。
漢方は朝 八味地黄丸 1つまみ
夜 コタロー五苓散1/7包 0.3g位+八味地黄丸 1つまみ
(4回目)
少しずつよくなっている気がする。(ここでお茶など冷たい物を飲んでいることが判明。子供の時からの習慣で温かいお茶を入れるのが面倒。冷蔵庫から出したペットボトルのお茶を飲んでいることを聞き逃したことを反省)
養生 冷たいものを減らす。
漢方 前回と同様。
(6回目)
温かい物を飲んで温泉も行っている。1時間くらい歩くと疲れるが、山登りしてみようかなという気持ちが出てきた。
気診 水毒± 瘀血++
養生 呼吸法。体が重くなってきたら深呼吸。
漢方 朝 八味地黄丸 3粒 夜 桂枝茯苓丸0.5gに変更。
八味地黄丸は田畑先生手作りの丸剤に変更し山登りを目指して継続中。
こちらの患者さんは以前にもご紹介したと思います。昨年12月、当院に通院して1年3か月。「85%戻りました!」と喜んでおられました。途中夏バテもありましたが一歩ずつ上昇していきました。また山登りもできそうだと喜んでいらっしゃいました。
どうにもエネルギーダウンしてしまった時、冷え、口呼吸、食事の不足などエネルギーの不足を疑ってみましょう。時間はかかりますが、少しずつ元気になっていきます。諦めなくても大丈夫です!!